社員ブログ
タイ研修(鉄鋼課鉄鋼グループ)
突然ですが、皆様は「タイ」と言われて何を思い浮かべますか。
「タイ料理」「ムエタイ」「タイ古式マッサージ」等を思い浮かべた方もいらっしゃったかもしれません。実を言うと、先に述べた3つのイメージは以前から私がタイに思い浮かべていた印象でした。加えて言うと「暑い国なのだろうな」程度にしか意識していませんでした。そんな私ですが、なんの因果かタイに渡航することとなり、すっかりタイの虜となってしまった、そんなエピソードの紹介です。
当社が加入している協同組合京橋鐵友会という所謂、「鉄屋さん」の集まりが主催するタイ研修が11/5~9の日程で行われ、私もその研修に参加させていただきました。5日間の滞在中、タイと日本の様々な違いに驚きの連続でしたが、まず現地空港に立った瞬間に思ったことは「暑いっ!」11月初旬とは言え、日本はセーターを着ていても可笑しくはない気温でしたが、タイは真夜中11時到着にも関わらず、汗が出るほどの気温でした。いち早くクーラーの効いた部屋に行きたいと、参加者は全員が思ったに違いありませんが、直ぐにその思いは撤回されます。「クーラー効き過ぎ!」 後に知ったのですが、一昔前より電気・ガス・水道といったインフラの整備が各主要地で進んでおり、現地の方は暑さを感じない生活を満喫しているとのこと。私が思っていた発展途上国のイメージとは早速違うものでした。
さて、ここで少し鉄のお話です。皆様がよく見る普通乗用車にはおよそ何キログラムの鉄が使われていると思いますか。すぐに答えてしまいますが、正解は約1,000キログラム(約1トン)使用されています。「意外に軽いな」と思う方と「意外に重いな」と思う方がいらっしゃると思いますが、私の感覚では後者です。しかし、考えてみれば日本国内でも、業界一位の鉄鋼メーカーと業界一位の自動車メーカーの価格交渉が色々な鉄の価格に影響すると言われているので、自動車がいかに多くの鉄を使っているかが想像出来ます。話がそれましたが、私は今回の研修でタイ国内自動車トップシェアのメーカー「タイ・トヨタ」のプレスラインを見学させていただく機会がありました。大迫力のプレス作業!…は残念ながら見ることは出来ませんでしたが、トヨタならではの企業理念に触れることができました。日本で「少子高齢化」の文字を見るようになり随分経ちますが、タイでも近年同様な問題が起きているとのこと。そのような事情を知る中で、我々見学者側から「熟練工が引退していく中、技術の継承はどのような事に気をつけていますか」と質問すると、「トヨタに熟練工はいりません、どの工場で誰が作業しても最高のパフォーマンスが出せる仕組み作りを目指しています」との回答がありました。ワーカー不足からなる企業存続の危機から回避するための模範となる仕組み作りであると感銘いたしました。
さらに鉄と自動車のお話です。私たちは東洋のデトロイトと呼ばれる「イースタンシーボート地区」のコイルセンターを見学しました。鉄鋼メーカーが作るコイル(トイレットペーパーの鉄版を想像してください)を自動車メーカーが使用しやすい幅・長さにするのがコイルセンターです。近隣に自動車メーカーや関係加工先が密集しており、サプライヤー、バイヤー共に立地条件に優れた地域です。そもそも何故タイでこんなにも自動車産業が発展しているのかと言えば、それはASEANの中心であるという地域特性が大きな要因であると言えます。加えて、これは個人の感想になりますが、タイの方々はとても勤勉で真面目です。製造・生産業種に向いていると感じました。月曜から土曜までは一生懸命全力で働き、日曜は全力で休むのだそうです。全力で休むという感覚は私には無いものでした。見習いたいと思います。その反面、賃金に関してはとてもドライだそうで、「1円でも高い方で働く」が心情のようで、終身雇用の概念は労使ともに無いので、離職率が高く、そこだけは日系企業は頭を抱えているようです。
最後にタイの人柄のお話です。タイは90%以上の方が仏教徒で、国王制の国です。その為か、とても温厚で人当たりがよく、何事にも感謝の気持ちを表す気持ちの良い方々でした。自由時間に私が地下鉄で切符の買い方が分からずオロオロしていると、学生らしき方が親切に行き先まで調べてくれて教えてくれました。さらに私が日本人だと分かると、この地下鉄は日本のODAで出来ているのだと、感謝までされてしまいました。日本人であることが誇らしくなり、嬉しい気持ちになりました。
経済発展が今尚目まぐるしく、活力に溢れたタイ。そして、微笑みの国タイ。是非機会があれば皆様も訪れてみてはいかがでしょうか。きっと私のようにタイのファンになりますよ。末尾になりましたが、料理だけは気をつけてください。私は「パクチ」を始めとした癖の強い香辛料だけは、どんなに笑顔で勧められてもNGでした(笑)